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『試行錯誤』は読む/書く人々の試行錯誤のための実験室です。文芸に新しい視点をもたらす著者のエッセイや批評を集めています。
目次:
・伏見瞬 蓮實重彥論 「『リュミエール』から読む「過去の現在化」
・わかしょ文庫 大相撲観戦記 「大相撲を観るようになったわけ」
・陳詩遠 なにがなんだか 「詩情、歯茎に埋もれて」
・友田とん 取るに足らないものを取る 「流星のごときケーキの手提げ」
「文芸雑誌『代わりに読む人』の別冊「試行錯誤」は、年に数回、文芸に新しい視点と言葉をもたらす試行錯誤の「実験室」である。ここに、第2号をお届けする。だが、この第2号というのがなんとも居心地の悪いものだ。第1号という、新しいものが始まりそうだという新鮮さもなければ、なんだかよくわからないが目出度い、祝っておこうという祝儀も期待できない。(中略)
ただ、1号と2号があればその二つの間の差異というものを考えることができる。点と点を線で結ぶ。それは1号だけではありえない。祝祭が終わってもじっとその場にとどまり、差異や変化を観察する。それこそが2号の役割かもしれない。差異を見て考える。まさに実験である。意外にも、2号というのは実験室に相応しいものかもしれないという気さえしてくるではないか。そもそも、そうした時間を持ちたくて、『試行錯誤』を作り始めたはずだ。実験はまだ始まったばかり。」(巻頭言「2号目の居心地」より)
内容紹介
◉ 伏見瞬 蓮實重彦論 「『リュミエール』から読む「過去の現在化」」
蓮實自身が責任編集を務めた『季刊リュミエール』に寄せたD・W・グリフュス論を読み解き、「過去」を「現在」として呼び起こすという映画の持つ性質を、蓮實の文章や対談の中からも、活き活きと浮かび上がらせていく。
◉ わかしょ文庫 大相撲観戦記 「大相撲を観るようになったわけ」
誰かが観なければ「世界の均衡が崩れてしまう」、少なくともわたしは見届けよう。著者がそう思った頃に、大相撲を必要としていた理由を振り返りつつ、前回に続き「知れば知るほど不思議な力士の世界」を川柳に詠む。
◉ 陳詩遠 なにがなんだか 「詩情、歯茎に埋もれて」
研究が順調すぎて忙しくするあまり、詩情を失っていた物理学者の著者に突然文章が書けるようになる体験が訪れて、物理と哲学のあいだを行き来する思考へと至る。
◉ 友田とん 取るに足らないものを取る 「流星のごとケーキの手提げ」
最近、事務所を借りた著者は、日々決まった時刻に歩いて通勤するようになったことをきっかけに目に飛び込んできた人や物を書き留め、想像を膨らませる。
文庫判60頁、並製本
表紙用紙:アラベールスノーホワイト110kg 、本文用紙:上質紙70Kg
発行年月:2024年3月
発行所:un poco / 代わりに読む人