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『試行錯誤』は読む/書く人々の試行錯誤のための実験室です。
文芸に新しい視点をもたらす著者のエッセイや批評を集めています。
「私は必要に迫られて、ノートの片隅に間取りを書くことで、その方法を再発見/再発明したのだ。それは道具を手に入れるというよりも、体に目や耳に加えてもう一つの新しい感覚器が生まれてきたような感覚で、それは私の体が拡張された感じなのだ。何かを自分で見つけたと思っても、大抵のことはすでに発見/発明されたことの再現にすぎない。しかし、取り組む人が必要に迫られて発見/発明し直しているその過程には読むべきもの(例えば発見の喜び)が必ず現れていると思う。期せずして、『試行錯誤4』に収められた文章は、再発見/再発明の過程にみちている。」(巻頭言「再発見・再発明」より)
目次
・巻頭言「再発見・再発明」
・陳詩遠 なにがなんだか「祭典・採点」
・わかしょ文庫 大相撲観戦記「大関の書いた小説を探して」
・スズキナオ 谷崎潤一郎のことを考えながら散歩する「暑い銀座のドイツビール」
・伏見瞬 蓮實重彥論「書籍版『蓮實重彥論』の構想をそろそろ本気で考えてみる」
・友田とん 取るに足らないものを取る「ワークショップ」
内容紹介
◎陳詩遠 なにがなんだか「祭典・採点」
昨夏東京で開催され、著者が採点アルバイトとして参加した国際物理オリンピックの採点(祭典)記。できる限り好意的に解釈して中間点を与える運用方針のもと各国の高校生の大量の答案を採点するうちに、未踏の境地を発見する。
◎わかしょ文庫 大相撲観戦記「大関の書いた小説を探して」
大相撲に熱中するためには、横綱・大関は強いのだというファンタジーが必要だ。これを取り戻そうとして、大相撲の歴史を辿りはじめると、思わぬ事実に当たる。
◎スズキナオ 谷崎潤一郎のことを考えながら散歩する「暑い銀座のドイツビール」
『細雪』にも出てくるという銀座のレストランで母と一緒に昼食をとってから帰り着いた大阪で、谷崎の小説を読むと、大地震のことが書いてあって……。
◎伏見瞬 蓮實重彥論「書籍版『蓮實重彥論』の構想をそろそろ本気で考えてみる」
「あの」蓮實重彦像がいつできたものか。それを明らかにするためにはどうすればいいのか。書籍化に向けて具体的なステップを書き出し、与えられた時間と作業量から検討していく。
◎友田とん 取るに足らないものを取る「ワークショップ」
ワークショップの準備のため、集めてあった可笑しなことの写真を振り返っていくうちに、可笑しなことの見つけ方を再発見していく。
[書誌情報]
定価 1,000円+税
文庫判76頁、並製本
表紙用紙:アラベールスノーホワイト110kg 、本文用紙:上質紙70Kg
発行年月:2024年9月
発行所:un poco / 代わりに読む人
発行部数:350部